労働法規遵守
介護サービス事業者の労働法規の遵守
介護事業を含む社会福祉関係の事業は、全産業と比較して労働基準法等の違反の割合が高い。
社会福祉施設の違反事業場比率は77.50%で、 全産業の68.50%と比べて9%高い。
※社会福祉施設には、特養、老健、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、訪問介護事業所等の居宅サービス事業所、グループホーム、有料老人ホーム等のほか保育所や障碍者福祉施設・事業所が含まれている。(資料出所:平成20年労働基準監督年報)
厚生労働省 平成23年2月 「介護保険法改正案について」より
以上を背景にして、改正介護保険法では次の条文が盛り込まれました。
次のいずれかに該当する者については、介護サービス事業者の指定等をしてはならないものとする。 ①労働に関する法律の規定であって政令で定めるものにより罰金刑に処せられ、その執行を終わるまでの者、又は執行を受けることがなくなるまでの者 ②労働保険の保険料の徴収等に関する法律により納付義務を負う保険料等の滞納処分を受け、引き続き滞納している者
都道府県知事又は市町村長は、指定地域密着型サービス事業者が上記①に該当するに至った場合には、指定の取消し等を行うことができることとする。
労働基準法に違反して、罰金刑以上になった者については指定を認めない、及び現にサービスを提供している事業者が罰金刑を受けたときは指定を取り消すというものです。事業者が複数の事業所を経営している場合は、違反した事業所のみか、同一法人の事業所全てか等、気になる課題もあります
労働基準監督年報によれば、労働基準法違反により送検された社会福祉施設は、
平成18年 11件
平成19年 15件
平成20年 11件
で、毎年10件程度が労働基準法違反で送検されています。
罰金刑を受けるのは、是正勧告を再三無視するなどの悪質なケースです。
現在のところ、上記のとおり労働法規違反で刑罰を受ける介護事業者はごく少数ですが、改正介護保険法をきっかけに監督官庁の労働法規遵守に関する指導が増えるものと予想されます。